WNBAがいま、大きな転換点を迎えています。
きっかけは、2026年から始まる大型の放映契約です。
Disney(ESPN)、Amazon Prime Video、NBCUniversalといった巨大メディア企業がWNBAと契約を結ぶことで、リーグには今までにない規模のお金が継続的に入ってくる見込みです。
そしていま、その「入ってくるお金をどう使うか」をめぐって、リーグと選手会が激しく交渉を続けています。
話し合われているのは、選手の年俸だけではありません。移動環境、宿泊施設、働き方、そして「WNBAがこれからどんなリーグになるのか」という設計図そのものです。
では実際、選手の年俸はどれくらい上がる可能性があるのでしょうか?
WNBA選手の年俸は、いまどれくらい?
まず現状を整理しましょう。
WNBAの選手の年俸は、おおよそこんな感じです。
💰 最低年俸:約700万円〜900万円($60,000台〜)
💰 最高年俸:約3,500万円前後($250,000前後)
💰 平均年俸:約1,500万円前後($100,000台、推計に幅あり)
一方、NBAの平均年俸は約15億円〜18億円($10M〜$12M前後)です。
この差を見れば、「WNBA選手の待遇改善が必要」という声が高まるのも当然です。
しかしここで重要なのは、「差があること」だけではありません。
リーグにお金が入る仕組みそのものが、2026年を境に変わろうとしているという点です。
なぜ2026年が”特別な年”なのか?
2026年に何が起きるのか。それは、新しい放映・配信契約のスタートです。
契約先はこの3社です。
📺 Disney(ABC / ESPN)
📺 Amazon(Prime Video)
📺 NBCUniversal(NBC / USA Network / Peacock)
これがどう影響するのか。単純に「試合がたくさん放送される」だけではありません。
リーグにとっての3つの変化
① 収益が安定する
放映権料は、チームの成績に左右されにくい安定収入です。つまりリーグは、年俸や施設に投資する”計画”が立てやすくなります。
② スポンサーがつきやすくなる
露出が増えると、企業は広告投資の判断がしやすくなります。結果、スポンサー収入も増えます。
③ 新しいファンが入ってくる
視聴の入口が増えることで、「たまたま観た人」がファンになるチャンスが広がります。そこからチケットやグッズの売上にも波及します。
つまり、放映権契約は「リーグが成長するエンジン」になるわけです。
そして、リーグにお金が入ると必ず浮上する問題があります。
一番揉めるテーマ:「お金をどう分けるか」
リーグが稼げるようになったとき、必ず議論になるのが分配のルールです。
NBAでは、収益の約50%を選手側に分配する仕組みがあります。
一方、WNBAはこれまでその比率が小さいと指摘されてきました。
選手側の主張
「リーグが成長するなら、私たちの取り分も増やしてほしい」
リーグ側の懸念
「急にコストを上げすぎて、リーグ運営が不安定になるのは避けたい」
どちらも正しいことを言っています。だからこそ、落としどころを見つけるのが難しいのです。
この「お金の分け方」を決めるのが、CBA(労使協約)という契約です。
CBAって何?選手の生活を決める”ルールブック”
CBAは、リーグと選手会が決める「働き方のルールブック」です。
ここに書かれる内容が、選手の日常に直結します。
CBAで決まる主な項目
💰 年俸の最低額・上限額、サラリーキャップ
📈 収益が伸びたとき、選手にどう還元するか
✈️ 移動・宿泊・コンディション支援
📅 シーズン日程・試合数
🏥 ケガや出産も含む選手の保護制度
つまりCBAは、「選手がプレーする舞台の”普通”を決める契約」なんです。
そして今回、WNBAと選手会は交渉期限を延長しました。
これは「揉めている」というより、決める内容があまりにも重要だから時間をかけているという状況です。
では、実際に年俸はどれくらい上がる可能性があるのでしょうか?
年俸は本当に「数倍」になるのか?
結論から言うと、交渉次第では、射程に入っています。
報道では、こんな案が議論されていると伝えられています。
✅ サラリーキャップ(年俸総額の上限)を大幅に引き上げる
✅ 年俸上限を100万ドル(約1億5,000万円)クラスにする
✅ 最低年俸を大きく引き上げる
✅ 収益が増えたら選手にも連動して還元する仕組み(レベニューシェア)を強化する
ただし、これはまだ合意ではなく、交渉中の案です。
つまり、こう言えます。
年俸が「数倍の世界」に入る可能性はあるが、どんな形で実現するかはCBA次第。
これが今の現実です。
「海外リーグに行く」のはなぜ?本当の理由
WNBA選手がオフシーズンに海外でプレーする話は有名です。
でも理由は「生活のため」だけではありません。もう少し構造的な問題があります。
① WNBAのシーズンが短い
オフシーズンが長いため、プレー機会を求めて海外に行く選手がいます。
② 海外のほうが報酬が高いケースがある
ヨーロッパや中国のリーグは、トップ選手に高額を支払うことがあります。
③ キャリア上の選択肢として成立している
コンディション管理、役割の拡大、経験値など、お金以外の理由もあります。
つまり本質は、個人の努力の問題ではなく、「リーグの仕組みがそうさせている」という点です。
2026年以降、この構造が変わる可能性があります。
WNBAは「稼げるか」ではなく「どう分けるか」のフェーズへ
WNBAはいま、人気上昇の勢いだけでなく、収益が大きくなる入口に立っています。
その入口で交渉されているのがCBAで、ここで決まるのは年俸だけではありません。
選手の働き方と、リーグの成長スタイルそのものが決まります。
もしこの交渉がうまく進めば、WNBAは「副業が前提のリーグ」から、「WNBA一本で生活できるリーグ」へと変わる可能性があります。
2026年は、WNBAが次のステージに進むかどうかを決める、非常に大きな節目です。
参考:
Reuters – WNBA, players’ union extend CBA new Jan. 9 deadline
まとめ:WNBAは2026年を境に、選手の待遇とリーグの成長モデルが大きく変わる可能性を秘めており、CBA交渉の行方がその未来を左右します。

