36年で価値60倍!NBAブレイザーズ売却が示す米スポーツ市場の今

スポーツテック

36年で価値が約60倍になったNBAチームがあります。

そのチームは、アメリカ・オレゴン州を本拠地とするポートランド・トレイルブレイザーズ

1988年に約7,000万ドル(約106億円)で購入されたブレイザーズが、2025年8月、40億ドル超(約6,000億円以上)〜42.5億ドル(約6,375億円)で売却されることで合意したと複数の米メディアが報じました。

まだNBA理事会の承認待ちですが、このニュースは米スポーツビジネスの成長を象徴するものです。

売却の概要

今回の取引について、報道ベースの事実を整理します。

  • 買収側:NHLカロライナ・ハリケーンズのオーナー、トム・ダンドン氏率いる投資グループ
  • 売却側:故ポール・アレン氏(マイクロソフト共同創業者)の遺産管理団体
  • 評価額レンジ
    • ESPNなど:40億ドル超(約6,000億円以上)
    • 地元局KGW:42.5億ドル(約6,375億円)
  • 購入当時との比較:1988年に7,000万ドル(約106億円)で取得 → 約58〜61倍に
  • 承認条件:NBA理事会の承認が必要(正式決定前)
  • アリーナの所有:ホームアリーナ「モダ・センター」は市所有。2024年に1ドルで市に譲渡され、2030年までのリース契約(延長で2035年まで)

評価額(valuation)とは?
放映権収入、スポンサー契約、ブランド価値、リーグ参加権など、チーム運営そのものの価値を示す概念です。

NBAの場合、アリーナ不動産を除いた形でも評価されるケースがあり、たとえばレイカーズはステイプルズ・センターを含めずに高額評価されました(=ブランド力などが核)。
今回のブレイザーズも同様の構成で評価されており、それでも40億ドル超の評価額を得た点は、評価方法として非常に興味深い事例です。

米スポーツ市場の成長がブレイザーズ価値を押し上げた背景

ブレイザーズの評価額上昇は、チーム単体の話というより、NBA全体の市場拡大と密接に関係しています。

  • NBAチーム価値の高騰
    近年のNBA球団売却額は過去最高を更新し続け、リーグ全体で平均評価額が上昇傾向にあります。
  • 放映権契約の大型化
    2025-26シーズンから始まる新たな国内放映権契約は、11年総額約760億ドル(約11兆4,000億円)。安定的な収益源として、各チームの価値を押し上げています。
  • 国際市場への積極展開
    • 中国:2008年にNBA Chinaを設立し、放映権契約(テンセントなど)、グッズ販売、スポンサー契約、NBA China Games(現地開催試合)、ジュニアNBA育成プログラムを展開。
    • ヨーロッパ:ロンドン拠点のNBA Europeがマーケティングやイベント運営を行い、ロンドンやパリでNBA Global Gamesを開催。各国で放映権契約を結び、スポンサーシップも拡大。
    • アフリカ:国際バスケットボール連盟(FIBA)と共同で「バスケットボール・アフリカ・リーグ(BAL)」を運営し、現地リーグとして展開。

こうした戦略が、NBAブランド全体の価値を押し上げ、各チームの評価にも反映されています。

ブレイザーズ売却が示す米スポーツビジネスの現実

今回のブレイザーズ売却合意は、米プロスポーツ市場における資産価値高騰の象徴的な事例です。

今回のNBAブレイザーズ売却は、ホームアリーナ「モダ・センター」の不動産価値を含まない点が大きな特徴です。

アリーナを含む場合は「チーム運営権+不動産資産」のセットで評価されるため、立地や規模によって売却額が大きく膨らみます。

一方、今回の取引のようにアリーナが市所有でリース契約となっているケースでは、評価対象は純粋にチーム事業の価値(放映権収入、ブランド力、スポンサー契約など)+NBA参加権益のみとなります。

それでも評価額が40億ドル超に達したことは、米スポーツ市場におけるチーム価値の高さを改めて示しています。

その他、ロサンゼルス・レイカーズの売却でも同様の構成がありました。

レイカーズは約100億ドル(約1.5兆円)の史上最高額で売られましたが、ホームアリーナ「ステイプルズ・センター」は含まれておらず、チーム運営権のみが対象でした。

2025年現在のNBA売却価格ランキング
ロサンゼルス・レイカーズ(2025年):100億ドル
ボストン・セルティックス(2025年):61億ドル
フェニックス・サンズ(2022年):40億ドル
ブルックリン・ネッツ(2019年):23.5億ドル
ヒューストン・ロケッツ(2017年):22億ドル

まとめ:NBAブレイザーズ売却から見えるスポーツ投資の可能性

ブレイザーズの売却はまだ承認待ちですが、その評価額はNBA史の中でも大きな数字です。

今回の事例は、米国スポーツ市場の成長、国際戦略の成功、そしてスポーツチームが「投資対象」としてどこまで価値を持ち得るのかを示しています。

次にこうした高額売却のニュースが出るのは、どのチームになるのか──。
NBA理事会の承認の行方と新オーナー体制での運営が、今後の注目ポイントです。

参考

【NBA】トレイルブレイザーズが42.5億ドルで売却合意、NHLオーナーのトム・ダンドンはポートランド残留の意向 | バスケットボール総合情報サイト バスケットカウント BASKET COUNT セルティックスとレイカーズに続いてクラブ売却が決まる NHLカロライナ・ハリケーンズのオーナー、トム・ダンドン basket-count.com

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