NBAはデータで何を見ている?AI・トラッキング技術を徹底解説

NBA

NBAは今、世界で最もAIとデータを活用しているスポーツリーグの一つです。

コート上の全選手の動きを毎秒60回・29の身体ポイントで追跡し、そのデータをAIで解析する。これまで数値化できなかった「ディフェンスの貢献度」や「シュートの難しさ」、さらには「ボールを持っていない選手がチームにどう貢献しているか」まで測定する時代に入りました。

この記事では、NBAのAI・データ活用の歴史から最新技術まで、Second Spectrum → Hawk-Eye → AWSという3つの柱に沿って体系的に解説します。


NBAのデータ活用はいつから始まった?トラッキング技術の進化史

NBAがデータトラッキングに本格的に取り組み始めたのは、2009年のことです。

この年、ダラス・マーベリックスを含む複数のチームが「SportVU」というイスラエル発のトラッキングシステムを試験導入しました。もともとサッカーやクリケットで使われていた技術を、バスケットボールに転用したものです。

SportVUの仕組みは比較的シンプルでした。アリーナの天井に設置した6台前後のカメラで、毎秒25フレームの映像からコート上の選手とボールの位置座標を取得する。出てくるデータは「どの選手がどこにいたか」「どのくらいの距離を走ったか」「最高速度はいくつだったか」といった、位置と動きの基本情報です。

ダラスの他にも、ボストン、サンアントニオ、ヒューストン、オクラホマシティ、ゴールデンステートといった先進的なチームが次々とSportVUを導入。そして2013年、NBAは米国プロスポーツリーグとして初めて、全アリーナにトラッキングシステムを標準装備することを決定しました。

当初、SportVUで座標データは取れるようになったものの、それを戦術・育成・スカウティングに落とし込む“翻訳”が難しく、多くのチームは試行錯誤しました。そこで、チーム内の分析体制強化に加え、トラッキングデータの解析・可視化を担う企業(Second Spectrumなど)が存在感を高め、やがてリーグの公式トラッキング/アナリティクス基盤もSecond Spectrumへ移っていくことになります。

ここから先は、NBAのAI・データ活用を支える3つの技術的な柱を順番に見ていきます。


Second Spectrumとは?NBAの公式トラッキングプロバイダーの技術

データを「理解できる形」に変える会社

Second Spectrumは、トラッキングデータなどの膨大なデータを、コーチや選手が意思決定に使える“意味のある情報”へ変換することを強みとするスポーツテック企業です。

創業者のRajiv Maheswaran氏は、スポーツに関するデータを機械が理解・解釈できるようにする(=“スポーツを理解する機械”という発想)という方向性で、研究と事業の両面からこの領域を推進してきました。

バスケットボールにおけるトラッキングは、選手とボールの座標を高頻度で取得できますが、座標の列そのものからは、たとえば「今の動きがピック&ロールなのか」「ディフェンスはどう守ったのか」といった”プレーの意味”が自動で分かるわけではありません。

この“データはあるが、理解に変換するのが難しい”ギャップを埋めるのが、Second Spectrumが取り組んできた領域です。

プレーを自動で分類・注釈づけする機械学習

Second Spectrumは、トラッキングデータに対して機械学習(パターン認識)を用い、プレーや動作を分類・注釈づけ(アノテーション)していきます。 たとえばピック&ロールの場面でも、オフェンス側の選択(スクリーンの使い方やロール/ポップなど)や、ディフェンス側の守り方(ドロップ、アンダー、ショーなど)といったバリエーションが存在します。こうした違いを、座標データから機械が判別できるようにすることで、分析や映像レビューの効率が上がります。

このアプローチが進むと、ピック&ロール以外のオフボールスクリーン、ハンドオフ、アイソレーション、クローズアウトといった多様な局面についても、人が映像を見てタグ付けしていた作業の一部を自動化できるようになります。結果として、チームは「何が起きているか」をより速く整理でき、戦術設計やスカウティング、育成、対策立案にデータを組み込みやすくなります。

NBAの公式トラッキング基盤へ(SportVUの後)

NBAは2016年にSecond Spectrumとのパートナーシップを発表し、2017-18シーズンからSecond SpectrumはNBAの公式光学トラッキングプロバイダーとして稼働しました。

これにより、リーグ全体でトラッキングデータがより体系的に扱われ、分析や映像体験の高度化が進む土台が整いました。

Genius Sports傘下での展開と「Dragon」

2021年には、スポーツデータ企業のGenius SportsがSecond Spectrumを買収。以降は、トラッキング技術と配信・データ流通の基盤を組み合わせながら、プロダクト展開が拡大しています。

さらに2023年にはNBAとGenius Sports/Second Spectrumが提携拡大を発表し、NBA League Passの拡張映像体験に加えて、「Dragon」という次世代プラットフォームの共同開発が明かされました。Dragonは「メッシュデータ(mesh data)」という概念を用い、コート上の膨大なデータポイントを統合・合成する仕組みとして位置づけられています。

NBA以外への展開(サッカーを含む)

Second Spectrumの技術はNBAに限らず、サッカーを含む複数競技・複数リーグでの活用が進んでいます。バスケットボールとサッカーの両方でトップレベルの現場に入り込み、「トラッキングデータを、現場が使える”理解”に変換する」という領域で存在感を高めてきたのが特徴です。

▼ 関連記事 Second Spectrumの基本的な仕組みについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。 → Second Spectrumとは?NBAの試合を「データで見える化」するスポーツテック


ソニーのHawk-Eyeが変えたNBAのデータ精度|3D光学トラッキングの仕組み

「2Dの点」から「3Dの身体」へ

NBAのトラッキング技術において、2023年は大きな転換点でした。

この年、NBAはソニー傘下のHawk-Eye Innovations(ホークアイ)と複数年のパートナーシップを締結し、2023-24シーズンからリーグ全体で3D光学トラッキングシステムを導入することを発表しました。

Hawk-Eyeは、テニスのチャレンジシステム(ボールのイン/アウト判定)やサッカーのVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)、ゴールライン判定技術で知られる企業です。2001年の創業以来、スポーツの審判支援・映像分析技術の最前線を走ってきました。

NBAにおけるHawk-Eye導入の意味は、「トラッキングの次元が変わった」ということに尽きます。

それまでのSecond Spectrum時代のシステムは、6台のカメラで選手ごとの代表的な位置座標を中心に追跡するものでした。いわば選手を「1つの代表点(dot)」として追っている状態で、身体の細かな動き(姿勢/pose)までは捉えられませんでした。

Hawk-Eyeの導入により、これが「姿勢(pose)」データへと進化します。

Hawk-Eyeのシステムは、各アリーナに設置した12〜14台規模の超高解像度カメラで、各選手の身体の29のポイント(膝、手首、腰、肩など)をほぼリアルタイムで追跡します。これにより、選手の「位置」だけでなく「姿勢(pose)」「動作」「体の向き」まで3次元でリアルタイムに捉えることが可能になりました。

ある記事はこの進化を「スーパーファミコンからVRヘッドセットへのアップグレードに匹敵する」と表現しています。

審判支援への活用と2025年プレーオフでの実績

Hawk-Eyeの技術は、データ分析だけでなく審判の判定支援にも革新をもたらしています。

NBAは2019年からHawk-Eyeと概念実証(Proof of Concept)を行っており、NBAサマーリーグや複数のアリーナでシステムのテストを重ねてきました。具体的には、ゴールテンディング(シュートがリングの円筒内にある時にボールに触れる反則)やアウトオブバウンズ(ボールがコート外に出た際の最終接触者の判定)の場面で、Hawk-Eyeのカメラが3Dデータを使ってリプレイ映像や判定支援グラフィックを生成します。

テレビ中継では、テニスの放送でHawk-Eyeのグラフィックが表示されるのと同じように、ボールの軌道や接触の瞬間が3Dアニメーションとして表示されるようになりました。アリーナのジャンボトロン(大型スクリーン)にも表示されるため、観客が判定の根拠をリアルタイムで確認できます。

2025年のNBAプレーオフでも、重要な判定場面でHawk-Eye由来の新しいアングルや3Dデータがリプレイレビューで活用された事例が報じられています。リーグのテクノロジー活用の方向性を強く裏付ける結果となりました。

ちなみに、2025年プレーオフでは選手からも反響がありました。レイカーズ対ティンバーウルブズのシリーズ中、Hawk-Eyeのカメラアングルによるファウル判定を受けたレブロン・ジェームズは、自身のポッドキャスト「Mind the Game」で共演のスティーブ・ナッシュとともに驚きを語っています。新しいアングルから撮影された映像が判定に使われたことに対する選手のリアクションは、この技術のインパクトを物語っています。

NBAは今後、Hawk-Eyeの技術を使ってさらに多くの判定を自動化する方針を示しています。基本的な考え方は、「客観的にイエス/ノーで判断できるプレー(ショットクロック、リングへの接触、最終接触者など)はテクノロジーに任せ、主観的な判断が必要なプレー(ブロック/チャージ、ファウルなど)は人間の審判が担う」というものです。


NBA × AWS「Inside the Game」|2025-26シーズンの新AI指標を解説

NBAの「データのOS」が変わった

2025年10月、NBAはAmazon Web Services(AWS)との複数年パートナーシップを発表しました。AWSはNBA、WNBA、NBAGリーグ、バスケットボール・アフリカ・リーグなどの公式クラウド&クラウドAIパートナーに就任。NBA App、NBA.com、NBA League Passなどの主要デジタル基盤に加え、新しい分析基盤がAWSのクラウドインフラの上に構築されることになりました。

このパートナーシップの目玉が、「NBA Inside the Game powered by AWS」です。これはNBAのトラッキングデータをAIで解析し、ファン向けのインタラクティブな体験と、チーム向けの高度な分析の両方を実現する新しいプラットフォームです。

2025-26シーズンを通じて導入が進む3つの新AI指標は、バスケットボールの見方を変える可能性を秘めています。それぞれ見ていきます。

新指標①:Defensive Box Score(ディフェンシブ・ボックススコア)

バスケットボールの歴史において、ディフェンスの貢献度を数値化することは最大の課題の一つでした。

従来のボックススコア(試合の公式スタッツ)には、スティール、ブロック、ディフレクションといったディフェンスの数字は記録されますが、これらは実際のディフェンス能力のごく一部しか反映していません。「相手のシュートを打たせなかった」「スイッチして複数のポジションを守った」「ボールプレッシャーを掛け続けた」といった貢献は、数値化が難しい領域でした。

Defensive Box Scoreは、Hawk-Eyeの光学トラッキングデータとAWSのAIを組み合わせることで、リアルタイムで「誰が誰を守っているか」を自動検出します。そのうえで、ボールプレッシャー(ボールハンドラーにどれだけ近い距離でプレッシャーを掛けたか)、ダブルチームの頻度、ディフェンスのスイッチ回数といった新しい指標を、各選手のボックススコアに追加する仕組みです。

これにより、例えば「ヤニス・アデトクンボがコートにいる時間帯に、相手チームのFG%がどれだけ下がったか」「ジュー・ホリデーが1試合でスイッチした回数と、その際の相手のシュート成功率」といった分析が、リアルタイムで可能になります。

新指標②:Shot Difficulty(ショット・ディフィカルティ)

Shot Difficulty(xFG%:期待フィールドゴール成功率)は、1本1本のシュートがどれだけ難しかったかを評価する指標です。

従来のFG%(フィールドゴール成功率)は、単純に「打った本数のうち何本決めたか」しか教えてくれません。しかし同じ「2本中1本成功」でも、フリーのレイアップを1本決めて1本外したのと、ダブルチームを受けながらフェイダウェイ・スリーポイントを1本決めて1本外したのとでは、シュートの「質」がまったく異なります。

Shot Difficultyは、シューターの体勢(プルアップジャンパーかキャッチ&シュートか、フェイダウェイかステップバックか)、ディフェンダーとの距離やプレッシャー、コート上のシュート位置などの要素をAIが分析し、そのシュートが入る確率を算出します。

これにより、「この選手は難しいシュートを高確率で決めている(=実力が高い)」なのか、「簡単なシュートを多く打っている(=チーム戦術の恩恵が大きい)」なのかが、データで区別できるようになります。

新指標③:Gravity(グラビティ)

Gravityは、個人的にこの3つの中で最もバスケファンにとって面白い指標だと思います。

バスケの試合を見ていると、「この選手がコートにいるだけで、チームメイトのシュートが楽になっている」と感じる場面がありませんか?ステフィン・カリーがハーフラインを越えた瞬間にディフェンスが警戒してスペースが生まれたり、ニコラ・ヨキッチがポストにいるだけで相手のディフェンスのローテーションが崩れたりする、あの現象です。

Gravityは、まさにこの「目に見えない影響力」を数値化する指標です。

具体的には、AWSのカスタムニューラルネットワークが光学トラッキングデータを毎秒60回処理し、各選手がディフェンスからどれだけ近い距離でマークされているかを、ボール保持時と非保持時の両方で計測します。そして、その選手の存在によってチームメイトがどれだけ広いスペースを得ているかを算出する仕組みです。

つまり、Gravityが高い選手は「重力(Gravity)」のように相手ディフェンスを自分の方に引きつけ、チームメイトに良いシュートチャンスを生み出している、ということになります。

Play Finder:AIでプレーを検索する

3つの新指標に加えて、Play Finderも注目の機能です。

これは、数千試合分の選手の動きをAIが分析・理解し、類似するプレーを即座に検索・比較できるツールです。Amazon Bedrock(生成AI基盤)とAmazon SageMaker(機械学習プラットフォーム)を使って構築されています。

例えば、試合中に特定のピック&ロールが成功した場面があったとします。Play Finderを使えば、過去の試合から「同じようなセットアップで、同じような守り方をされた場面」をAIが瞬時に見つけ出し、その結果(成功率やパターン)を表示できます。

NBAは将来的にPlay FinderをNBAアプリ上で一般ファンにも開放する計画を明かしています。ファンが自分で「ステフィン・カリーの3ポイント」を検索して過去の全プレーを比較できる日が来るかもしれません。


ファンの観戦体験はどう変わる?AR中継とインタラクティブ機能

CourtVision:AR中継のパイオニア

NBAのデータ技術は、チームの戦略やデータ分析だけでなく、ファンの「見る」体験も変えています。

その先駆けが、CourtVision(コートビジョン)です。Second Spectrumの技術を活用して開発されたこのシステムは、LAクリッパーズの試合中継で先行導入されました。リアルタイムのトラッキングデータをもとに、各選手のシュート確率やプレーの分析結果をAR(拡張現実)グラフィックとして中継映像に重ねて表示する仕組みです。

例えば、選手がシュートを打つ前の段階で「この位置からのシュート成功率は43%」といった情報が画面に表示されたり、ピック&ロールの展開が図示されたりします。

現在は、NBA League Passの拡張映像としてSecond Spectrumの技術が活用されており、データオーバーレイを自動生成した「アナリティクス向け」の中継が選択できるようになっています。

Prime Videoとの連携

2025-26シーズンは、Amazon Prime Videoの11年間の放映権契約がスタートしたシーズンでもあります。レギュラーシーズン66試合がPrime Videoで配信され、AWSの新指標やPlay Finderの分析結果など、AWSのデータ分析機能が放送体験に統合されていくとされています。

AWSは、NFLのThursday Night Footballですでに同様のデータ分析連携を行っており、試合中により詳細なスタッツやインサイトを視聴者に提供する経験を積んでいます。NBAでも同じアプローチが展開され、放送解説者はPlay Finderのリアルタイムアラートを受け取り、プレーの歴史的な文脈や戦術的な背景を瞬時に視聴者に伝えることができます。

NBAが、地域ごとにパーソナライズされたコンテンツ(地元選手のハイライトや、その国の言語での解説)を提供する構想も、AWSのクラウドインフラがあって初めて実現できるものです。

スマートボールのテスト

もう一つ紹介したいのが、スマートボールの存在です。

NBAはサマーリーグの試合で、ボールの空気バルブに1グラム未満のセンサーを埋め込んだスマートボールをテストしています。このセンサーはボールの接触(タッチ)イベントなどのデータをリアルタイムで送信し、アリーナ内の計測機器と連携してボールの状態を正確に計測します。

Hawk-Eyeのカメラがコートの「上」から見ているとすれば、スマートボールはゲームの「中」からデータを取っていると言えます。将来的にはこの2つのデータが統合され、さらに精度の高い分析が可能になると期待されています。

▼ 関連記事 NBAのビジネスモデルの全体像については、こちらの記事で解説しています。 → NBAの経営戦略を徹底解説


Bリーグや日本のスポーツはどこまで追いつけるか

NBAのAI・データ活用の全体像を見てきましたが、日本のスポーツはどの位置にいるのでしょうか。

NPBのHawk-Eye導入

実は、ソニーのHawk-Eyeは日本にも入ってきています。NPB(日本プロ野球)は全12球団のホーム球場にHawk-Eyeの光学トラッキングシステムを導入しており、投球の回転数、打球速度、選手の位置データなどを取得しています。2026年シーズンに向けては、NPB+アプリとの連携による観戦体験のデジタル化も目指されています。

ただし、NBAとの違いは「データの活用範囲」にあります。NBAではトラッキングデータがチーム戦略、審判支援、ファンの観戦体験、放送コンテンツ、ベッティングデータと多方面に活用されているのに対し、日本のスポーツではまだ「取得」の段階が中心で、活用範囲が限定的です。

Bリーグの現在地

Bリーグに目を向けると、トラッキングデータの活用はまだ発展途上です。一部のクラブでは映像分析やウェアラブルデバイスによるデータ取得が進んでいます。

一方で、2026-27シーズンに開幕するBプレミアに向けて、新アリーナにはデジタルサイネージ、キャッシュレス決済、顔認証入場などのDX投資が進んでいます。まずはアリーナの物理的なインフラが整備され、その上でデータ活用が拡大していく流れになるでしょう。

NBAの事例が示しているのは、テクノロジー投資はコストではなく「ファン体験の向上→収益の拡大→さらなる投資」という好循環を生むエンジンだということです。NBAが近年、110億ドル(約1.7兆円)超とも推計される収益規模を実現できている背景には、こうしたテクノロジーへの継続的な投資があります。

Bリーグがこの循環をどう構築していくのか。2026-27シーズンのBプレミア開幕は、その第一歩になるはずです。

▼ 関連記事 → アリーナ観戦が進化!ロボットが創る新しい試合体験


よくある質問(FAQ)

Q
NBAのデータ分析にはどんな技術が使われている?
A

大きく3つの柱があります。①ソニーHawk-Eyeの3D光学トラッキング(選手の動きのデータ取得)、②Second Spectrum(Genius Sports)の機械学習(プレーの分析)、③AWSのクラウドAI(新指標の生成とファン向けプラットフォーム)です。

Q
Second Spectrumはどの競技で使われている?
A

NBA、NBAGリーグに加えて、プレミアリーグ(イングランド)の公式トラッキングプロバイダーとしても活用されています。FIFAやFIBAとも連携実績があります。

Q
NBAの新指標「Gravity」とは何を測っている?
A

特定の選手がディフェンスの注目をどれだけ集めるかを測定する指標です。ボールを持っていない時でも、ディフェンスに警戒されることでチームメイトのシュートスペースを広げる効果を数値化します。

Q
日本のプロスポーツでも同じ技術は使えるの?
A

NPB(日本プロ野球)ではHawk-Eyeが全12球団に導入済みです。Bリーグでは映像分析の取り組みが進んでいますが、NBAのようなリーグ全体での統一トラッキングプラットフォームはまだ実現していません。2026-27シーズンのBプレミア開幕に向けたアリーナDX投資が、データ活用拡大の土台になると期待されています。


まとめ

NBAのAI活用は、「カメラで位置を追う」という単純なトラッキングから始まり、今では「AIがバスケの動きを理解し、人間には見えなかった価値を数値化する」段階に到達しています。

その進化を支える3つの柱を整理します。

Second Spectrumは、機械学習でバスケのプレーパターンを自動分類する技術を確立し、NBAのデータ分析の基盤を作りました。Hawk-Eyeは、3D光学トラッキングで選手の身体の動きを精密に捉え、データの「解像度」を飛躍的に高めました。そしてAWSは、そのデータをクラウドAIで処理し、Defensive Box Score、Shot Difficulty、Gravityという新指標として、チームにもファンにも届けています。

日本のスポーツにとっても、NBAの事例は「テクノロジーがスポーツの価値をどう高めるか」の最先端モデルです。2026-27シーズンのBプレミア開幕を控えた今、この流れをどう取り込んでいくかが、日本のスポーツビジネスの次の課題になるでしょう。


参考: