Bリーグが進めている「まちづくり」は、試合の盛り上がりを会場の中だけで終わらせず、街の日常にまで広げていく取り組みです。
Bリーグでは、2026年の制度改革「B.革新」に向け、全国でアリーナの新設・改修が進んでいますが、それはゴールではなく「夢のまちづくり」へのスタート。
試合日と同じような活気や交流を、普段の生活の中にも作り出す――これがBリーグが目指す姿です。
なぜBリーグが地域活性化に踏み出すのか
この背景には、どの地域にも共通する課題があります。
- 商店街や中心部の人通りが減っている
- 地域経済の停滞で企業活動が縮小している
- 子どもたちが夢や希望を持ちにくい社会環境
こうした課題を解決するために、Bリーグはクラブを「地域のハブ」と位置づけています。
企業や行政、商店街、学校をつなぎ、スポーツの力で街全体を動かすことを目指しているのです。
ビジョンを象徴する「EN.TOWN」とは
Bリーグのまちづくりビジョンを象徴するキーワードがEN.TOWN。
この言葉には、5つのアクションワードと日本語の「円」「縁」「宴」という響きが込められています。
5つのアクションワード(5E)と意味
- ENTERTAIN(楽しませる)
- ENGAGE(関わる)
- ENERGIZE(活力を与える)
- ENABLE(可能にする)
- ENHOLD(抱き込み巻き込む)
要するに、街の人とつながり、元気を生み出し、長く続く仕組みを作るということです。
街の日常を変える4つの方向性
Bリーグのまちづくりは、地域の特性とクラブの強みを掛け合わせ、4つの方向性に展開されます。
- ヒトと街|まちなかウォーカブル
- 公共スペースで、スポーツや食、イベントを中心に「その場所でしか味わえない体験」をつくり、人を集める。集まった人が周辺の店や施設にも足を運び、街全体がにぎわうきっかけをつくる。
- ヒトとヒト|コミュニティ・交流拠点
- バスケだけでなく、食、エンタメ、ほかのスポーツなども組み合わせて、人と人の交流を促し、新しいコミュニティを生み出す。
- ヒトと活気|地域QOLの向上(QOL)
- スポーツの持つ「体験の楽しさ」や「科学的な知見」を、市民の教育、子育て、健康づくりに活かし、暮らしの質を高めるサービスを提供する。
- ヒトの安心|持続的な社会課題解決
- クラブが持つ「企業を巻き込む力」を活かして、子ども食堂など社会課題を解決する活動を、継続可能な事業として成り立たせる。そして、その成功事例を他の地域にも広げていく取り組み。
実際の事例|秋田・茨城・川崎の取り組み
実際に行われている事例を3つご紹介します。
秋田ノーザンハピネッツ
日本のプロスポーツチームとして初めて常設のこども食堂「みんなのテーブル」を開設。
中学生以下は無料で利用でき、地域企業や市民が継続的に支えています。
茨城ロボッツ
水戸市中心部の旧百貨店跡地を活用した「M-SPO」。
スポーツ、カフェ、イベントを組み合わせ、かつての空き地を多世代が集う場所に変えました。
川崎ブレイブサンダース
高架下を利用した無料バスケットコート「THE LIGHT HOUSE」と、遊休施設を再生した「カワサキ文化会館」を運営。
スポーツと文化が融合し、若者や地域住民の交流拠点になっています。
まちづくりを広げるための進め方
Bリーグのまちづくりは、いきなり大規模な事業をするわけではありません。
地域課題の把握から始まり、小さな実験(PoC)で成果を確かめ、成功すれば本格的な事業として育てます。
進め方は次の5ステップです。
- ビジョン仮説構築(課題の把握・将来像の設定)
- ビジョン共有(行政・企業・市民と合意形成)
- PoC(社会実験)の実施
- 事業開発(ハードとソフトの両面)
- 事業育成(継続・拡大・改善)
まとめ|クラブと街が一緒に描くこれから
Bリーグ×まちづくりは、単なるアリーナ整備やイベント運営ではありません。
地域の日常に入り込み、暮らしの中でもクラブの存在を感じてもらうための活動です。
EN.TOWNのようなキーワードは、その理念をわかりやすく示す“旗”のようなもの。
秋田・茨城・川崎の事例は、スポーツが街の空気を変える可能性をしっかりと見せてくれます。
これから、自分の街のクラブがどんな動きを見せるのか――ちょっと気にして見てみると、日常が少し面白くなるかもしれません。
参考
https://www.bleague.jp/files/user/BLEAGUE_machidukuri_PPT_fix.pdf
【公式】B.LEAGUE×まちづくり ~B.LEAGUEがまちをEN.TOWNする~ 感動立国の実現を目指し、B.LEAGUEクラブと夢のアリーナがもたらすワクワクする非日常を日常へ。本サイトではB.LEAG www.bleague.jp
【公式】「B.LEAGUE×まちづくり」とは?| B.LEAGUE×まちづくり ~B.LEAGUEがまちをEN.TOWNする~ B.LEAGUEが考える「まちづくり」についてご紹介します。 www.bleague.jp
「B.LEAGUE×まちづくり委員会」における報告書を公開 ~感動を日常に、地域創生を目指すビジョンを策定~ 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(東京都文京区、チェアマン:島田 慎二 以下「B.LEAG www.bleague.jp