スポーツは、試合の勝ち負けももちろん面白いんですが、「その裏でどんなビジネスが動いてるの?」なんてことを知ると、もっとおもしろくなります。
たとえば、もし「ものすごく儲かりそうなビジネスチャンス」が目の前にあったら、ほとんどの人は飛びつくはずですよね。
でも、アメリカで大人気のあるスポーツリーグは、そんなチャンスを前にしてもすぐには動かず、“待つ”という選択をしています。
いったいなぜ、この儲かるチャンスを追わないのでしょうか?
今回は、その決断の背景や大切にしている価値観ついて、わかりやすく解説していきます。
主役は「ACC」!それって何者?🏈
今回の主役は、ACC(アトランティック・コースト・カンファレンス)。
アメリカの大学スポーツにおける主要リーグ(パワーカンファレンス)の一つです。
「大学スポーツ?」って思うかもしれませんが、アメリカの大学アメフトやバスケは、日本のプロ野球やJリーグに負けないくらいに、熱狂的な人気を誇る巨大エンタメです。
ACCはその中でもトップクラスの人気と実力を持つ、まさに「大学スポーツ界の有力リーグ」。
様々な競技で、たくさんのスター選手をプロの世界に送り出しています。
そんなACCですが、実は今、岐路に立たされています。
他のライバルリーグがテレビ放映権などで莫大なお金を稼ぎ始めていて、ACCも「このままでは競争に取り残されてしまう!」という、厳しい状況に置かれているんです。
そんなピンチともいえる状況だからこそ、「儲かる話」にはすぐに飛びつきそうですよね?
でも、ACCのトップであるジム・フィリップスさん(リーグの責任者です)は、2つの大きな「儲け話」に、とても慎重な姿勢を見せているんです。
【儲かる話①】スポーツベッティング(スポーツ賭博)💰
一つ目の儲かる話は、「スポーツベッティング」です。
最近、日本でも話題になることが増えましたよね。
アメリカでは多くの州で合法化されていて、とんでもない規模のお金が動く巨大市場になっています。
スポーツリーグからすれば、公式パートナーとして賭けの会社と手を組めば、莫大なスポンサー料などが手に入る、まさに「金のなる木」なんです。
じゃあ、なんでACCは慎重なの?
理由はシンプルで、「学生である選手たちを守りたいから」です。
例えば、自分が選手で自分のプレーにたくさんの人がお金を賭けていたら…?
- 「今日の試合、お前が活躍しないせいで大損したぞ!」とSNSで知らない人から攻撃されるかもしれない。
- 「次の試合、わざと負けてくれ。そうしたら大金をやる」なんて、悪い人から誘惑されるかもしれない。
お金も大事だけど、まだ若い学生である選手たちが、そんなプレッシャーや危険にさらされることを見過ごせない。
稼げるからといって、競技の公平性が失われる「八百長」が行われるようなことは、絶対にあってはいけませんよね。
【儲かる話②】プライベートエクイティ(謎の投資集団?)🤔
二つ目の儲かる話は、「プライベートエクイティ」からの投資話です。
「プライベートエクイティとは??」って感じですよね。
簡単に言うと、「会社の経営に入り込んで、価値を上げてから売却することを目指す、プロの投資家集団」みたいなイメージです。
短期間で利益を出すことを得意としていますが、もちろん、長期的な視点で企業を育てるタイプの投資もあります。
彼らが会社に入れば、あっという間に業績がV字回復することもあるので、「経営の救世主」と呼ばれることもあります。
お金に困っているACCにとっては、喉から手が出るほど欲しい話です。
じゃあ、なんでこれも断ってるの?
理由は、「大学スポーツらしさが失われるかもしれないから」です。
プライベートエクイティの目的は、あくまで「利益を出すこと」。
でも、大学スポーツが一番大切にしないといけないのは、目先の利益よりも、「学生を教育し、成長させる」という理念。
もし、この投資家集団がリーグの経営権を握ったらどうなるでしょう?
- 「利益が出ないスポーツ部は廃止しよう」
- 「もっと儲けるために、学業より練習させよう」
- 「チケット代を値上げしよう」
このように、大学スポーツらしさが壊され、短期的な利益が優先されてしまうリスクがあります。
じゃあ、どうする?ACCの未来は?
「儲かる話」に乗らないとなると、どうやってライバルとの競争に勝っていくのでしょうか?
ACCは、派手な一発逆転を狙うのではなく、地道な努力で道を切り開こうとしています。
例えば、
- もっとファンが楽しめるような大会のイベントを企画する
- グッズ販売やライセンス契約を見直して、コツコツ稼ぐ
- 長期的な視点に立って、より良いテレビ放映権の契約を目指す
など、ファンを大切にしながら、自分たちで稼ぐ基盤を強化していくことが考えられます。
まとめ
目の前に「すぐ儲かる近道」と「時間はかかるけど、自分たちらしさを大事にできる道」があったとしたら、あなたならどっちを選びますか?
ACCは、まさにその選択に向き合っています。
大学スポーツとして守りたい価値観を手放さずに、どうやって現実的に続けていくか。
その模索は、これからの大学スポーツ全体にも大きなヒントを与えてくれる気がします。
こういう裏側を知ると、スポーツってもっとおもしろくなりますよね。
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